その香りは本物?偽物?・・・その3

その2からの続き…
さて、その1その2では日常的に様々な食品に化学香料が使われていること、そして消費者は知らず知らずのうちにそれに慣らされてしまい、その香りがないと美味しいと感じなくなってしまう…というお話をしました。
 また、化学香料は実はアレルギーの原因にもなり得る、ということも明らかになってきました。


 実は“香料”の世界は非常に閉鎖的。
なぜなら、その配合は大変重要な企業秘密だからです。


 私たちが開店準備のため様々なメーカーをあたっている時、
“高級ジェラート材料”で知られるあるイタリアのメーカーにサンプル依頼をしたことがあります。
日本への輸出経験がまだないこのメーカー、
大変気前よく様々なサンプルを航空便で送ってくれました。
その中のいくつかを、検疫所の輸入相談に持っていくため
成分表を取り寄せました。
しかし様々な原材料の最後に必ずある“aroma”(香料)の記述。
日本の法律で禁じられている成分がないことがはっきりしない限り輸入は不可能なので
その“香料”に使われているさらに細かい原材料を問い合わせました。
…すると態度が一変…
「今まで様々な国に輸出しましたが、そんなことを聞かれたのは初めてです!」
…と大変ナーバスな返事が返ってきました。

実際には各国間の貿易上の取り決めで、
国際法で認定されている検査機関で
「禁止されている成分が含まれていない」という証明書を作成してもらえば
大切な香料の配合を教えなくて済むのですが、
ここまでナーバスになっている先方には理解してもらえませんでした。

この経験のおかげで
既成の材料は何が入っているかわからない。
だったら一切使わないことにしよう!

…とブリガンテのこだわりがよりはっきり確立されたので、
かえって良かったと言えるのですが・・・・

少々横道にそれましたが そういう訳で
食品の原材料名に“香料”と書いてあっても
それが何を原料に作られているのか
自然の素材から作られた香料なのか
化学的に合成されたものなのか
消費者は全く知ることができないのです。


その1その2でお話ししたレポートの中では、ある香料メーカーを取材しています。


画像そのメーカーでは合成香料も扱っていますが、もともとは合成香料なんて無かった時代から自然の香料やエキストラクト(エキス抽出液)を作り続けている会社なのです。
 自然素材からエキスを抽出するその工程は、
現代になった今でもかなりの部分が手作業によって行われています。
ただ、抽出したエキスを単独で使うことはほとんどなく、
様々なエキスをブレンドしていろいろな用途に合う香りを作っていきます。
たとえばイチゴでも甘ーいイチゴ、さわやかなイチゴ・・といったように。
興味深いのは全くイチゴを使わずにイチゴの香りを作ることもある、という話でした。
なんと「ブドウ、レモン、ニワトコ(ニワトコの花なのか実なのかは不明)」この三つを組み合わせるとイチゴになる…。
ただ、どの香料も 配合していく過程は従業員にさえも秘密で、
研究室のごく一部の人以外は配合するプロセスの一部分にしか関われないようになっているのだそうです。

まるで“媚薬”のような謎めいた世界です…。

 
 さて、合成香料の話に戻りましょう。

このメーカーの人の話では、自然原料による香料を使うか、合成香料を使うかは、
単純に“費用”によって決まるのだ、ということです。
確かにこのメーカーがエキストラクトを製造している工程を見ると
とても時間と手間がかかっていてそれ相応の値段がつくのも納得できます。
でも食品を量産して大量に売るような会社がそんなに値の張る香料を使っていてはとても儲からない…
だから合成香料がどうしても主流になってしまう、というのが現実です。


 自然のものだから絶対安心とは言えないし、
合成のもの、と位置付けられていても例えば“にがり”のように自然界にも存在し、
昔から使われているものだってあります。
 だから一概には言えませんが、
こと“香料”に関してはやはり「その食品の本来の香り」を感じられなくなるのは寂しいように思います。

少なくとも食品の本来の味を感じられる舌を自分も取り戻し、自分たちの子供にもそういった本来の味覚を失わないように 食生活をもう一度見直すことは出来る、と私は思います。

 そういう私もシェフの作るジェラートを毎日食べるうち、
外で飲み物やお菓子、アイス類を食べた時に 
香料や安定剤などの使われ方に(かなり細かい部分まで)気づくようになりました。
 皆さんも例えば、自然酵母で作ったパンを食べ慣れたら、
他のパンのアルコールやイーストのにおいが気になった、
というような経験があるのではないでしょうか。

 イル・ブリガンテでは、香料といえるものは“カスタード”に使っているバニラビーンズ(お馴染みマダガスカル産の!)と、バニラのエキストラクトくらいです。
でも、全く上の二つを使っていないフレーバーも 
香りが豊かだ、とお客様が言って下さいます。
材料を厳選していること、また、納得いくレシピで作っていること…それもありますが、
結局は美味しく作ろうと思うことがまず大事なのではないかな。

…というものの、大企業とは違う 小さなお店だからこそ出来ることなのかも知れませんね。

画像

全国の“こだわりの小さなお店”のみなさん、
日本人の舌のため、お互いがんばりましょう・・・!








    「その香りは本物?偽物?」…おわり
   …これからも折にふれて“食”について考えていきたいと思います!
    少々また堅い話になるかもしれませんが、一緒に考えて頂ければ嬉しく思います!  








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この記事へのコメント

せんと
2010年01月24日 18:30
市販の果汁100%ジュースや、リキュールも成分表示欄を見ると「香料」表記のもの多いですよね 香料の全てが悪いわけではないですが、食に携わるものとして、選ぶ食材には気を付けたいと思います

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