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zoom RSS トマトの季節

<<   作成日時 : 2010/05/20 02:15   >>

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太陽の眩しい今年の五月。
このごろの日差しはまさに初夏を感じさせる。
この時期とみに美味しくなってくるのが…トマト!

鎌倉に住む良さはいろいろあるけれど
その中でも“鎌倉野菜”の恩恵にあずかることができる、というのは
最も気に入っていることの一つ。
半径数キロ以内でその日に採れた季節の野菜は
形は不揃いだったりちょっと育ちすぎていたりするけれど
その分勢いがあって味もしっかりしている。
ちょっとイタリアの元気いっぱいな野菜を思い出させてくれる。

夏が近づくころ鎌倉の市場には真っ赤なトマトが登場する。
農家さんによって味が違うが
ようやく最近誰のところで買えばいいかわかってきた。

イタリアのトマトに慣れた舌には
日本のトマトは正直水の味しかしないのだが
ここで買うトマトはとても甘く、しっかりとお日様の味がする。
欲を言えばもう少し酸味もしっかり残した品種改良をしてほしいものだが
ここは日本、多くは望めない。

美味しいトマトはできるだけシンプルに食べるもの。
だから我が家でも鎌倉のトマトはそのまま食べるか
シンプルなサラダにする。

トマトとニンニク少々とバジリコを美味しいオリーブオイルで和える。
またはトマトと、玉ねぎとパプリカ、これもオリーブオイルで和えるだけ。
これがイタリアでもっともよくあるトマトサラダ。
これをパンの上に乗せていただく。
パンは固いしっかりしたものほど良く合う。
南イタリアではfresaというカチカチに硬く焼き上げたパンの一種を
上に乗せたこのトマトサラダの水分でふやかしながら頂くのが真夏の夕食だったりする。


画像



さて、ここまでトマトのことを書いてくると
ひょっとして「トマトのジェラート」を作ります、という話かな
…なんて期待された方もいるのでは?

しかし、残念ながら
それはない。

イタリア人にとって、トマトはスイーツにはなり得ないのだ。
当店のシェフもこれは譲れないという。

茄子をケーキに使うあのナポリ人でさえ
トマトをドルチェにはしない。

そういえばよく飛行機で出るあの「トマトジュース」。
これもイタリア人には許せないらしい。
「トマトソースを飲むようだ」…

その昔南米から伝わってきたこの野菜が
イタリア料理の代名詞ともいえる地位に登りつめたのが
何時頃のことかはっきりとは分からないが
私たち日本人にとってフルーツを思わせるその味も
彼らにとってはあくまで“トマトソース”など料理にしか結びつかないもののようだ。

シンプルなのにパスタもピッツァも最高に美味しくしてしまう
トマトで作る魔法のソース…。


   *   *   *


しかしなぜ日本ではイタリア料理を複雑にしようとするのだろう。

先日ある番組で有名なイタリア人シェフがトマトソースのパスタを作っていた。
トマト料理がその日のテーマ。
他の(イタリアン以外の)シェフたちがさまざまに工夫した料理を紹介するなか
シンプルなトマトソースではつまらないと思ったのだろうか
彼は3種類のトマトを使ったソースを作るという。

特製トマトソースにドライトマト、そして生のトマト。
この組み合わせはまあ悪くないとして、
後半になって目を疑った。

何と生クリームを加えている・・・・

それだけならまだ良かったのだが
仕上げに…バターまで加えてしまった・・・


昔オリーブオイルが流通してなかった北イタリアでは
今でもトマトソースにバターを使うことがあるらしい。
でもそれは肉を使った料理だったり、
フランスにほど近いフレンチの影響を受けている地域の
郷土料理だったり、というのが一般的であり
一般のイタリア人にとって普通のトマトソースにバターというのはあり得ない。
当店のシェフにこの話をしたら、絶句していた。
そして一言、「それはフランス料理だ。」

この料理が美味しくない、というわけではない。
実際試食した人たちは絶賛していた。
でもこれを“イタリア料理”と紹介していいものだろうか。


   *   *   *


イタリア料理が日本の一般家庭にも浸透してずいぶん経つが
どの料理本を見ても本当にイタリアの家庭で作られているトマトソースを
ちゃんと紹介しているものはほとんど無い。

なぜかどの本のレシピも
“玉ねぎのみじん切りを炒める”ところから始まる。

イタリアでいろんな人に手料理をご馳走になったが
そんな面倒なことをする人に会ったことはない。

トマト(生でも水煮でもピューレタイプでもOK)、ニンニク一かけ、オリーブオイルを少々
これを弱火にかけコトコトと30分から1時間好みの濃さになるまで煮詰めるだけ。
あれば生のバジリコを1,2枚入れてひと混ぜしたらすぐ火を止め蓋を閉める。

これだけ。

もちろん時には玉ねぎ、ニンジン、セロリのかけらを一緒に煮込んで香りを豊かにしたり
赤ワインやバルサミコ酢で深みを出したりすることもある。
でも基本はあくまでもこれ。

でもこれは美味しいトマトでなければ美味しくできない。
水煮缶を使うときもよくメーカーを選ばないといけない。

ひょっとすると玉ねぎを使うのは
美味しくない日本のトマトで作るための
日本向けの基本レシピとして定着してしまったのかな…。


少なくとも鎌倉のトマトを使えば
炒め玉ねぎの出番はない。


今日も市場に行って
真っ赤なトマトを仕入れ
恋しいイタリアの太陽を
思い出すとするか…


画像


      (↑お気に入りの農家さんのトマト…市場にて)

   






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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
トマト ダイス来て゛す
美味しそうです

お料理一杯楽しめますね
ryuji_s1
2010/05/22 11:23
ryuji_s1さん
我が家もトマトが大好き!
五月に入ってから毎日
トマトが食卓にのります!
shuf
2010/05/23 22:24
今回のブログは「骨太」ですね!
仰りたい事は、良く分る気がします

ところで…
6月末より、早めの夏休みを取り
イタリアに行くことになりました!
行きたいところを考え、色々計画立てて、
今が一番楽しい時期かも知れません(笑)
nanaken
2010/05/26 00:27
nanakenさん
イタリアに行かれるのですね!
うらやましいなぁ〜!!
行先はもう絞りましたか?
是非お話聞きたいなぁ〜!
shuf
2010/05/29 18:07
今回は、ヴェローナ→ボローニャ→
マラネロ※外せません(^m^)→リヴィエラ沿いと
回って来るつもりです〜♪
nanaken
2010/05/29 22:52
おー、フェラーリのお膝元ですね。
南イタリアは行かないの?
shuf
2010/05/30 13:23
南は前回行ってしまったので、
今回は北なのです〜

シェフはシチリアご出身でしたっけ?
南でも行けてないところです
気が早いけど、次は行きたいなぁと思ってます!
nanaken
2010/05/31 00:39
シェフはカラブリア出身です。
さらにマイナーな州で
日本からの観光客のほとんどは
プーリアからマテーラに寄って
そこからカラブリアを素通りして
シチリアに入るというコースをとります…
地理的にもちょっと不便なんですよね…。

美味しいものいっぱい食べて
イタリア旅行楽しんできて下さいね!
shuf
2010/06/01 14:44

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